– ドバイ滞在で大切なこと

イスラム教の習慣に配慮する

 イスラム教(イスラーム)は、現在のサウジアラビアを発祥地とし、唯一神アッラーへの絶対的な服従を説く一神教の宗教です。7世紀の初頭、神から啓示を受けた最後の預言者とされるムハンマドによって創始されました。ムハンマドが受けた神の啓示をまとめた啓典コーランと、彼の言行を示した記録ハディースに基づき信仰が営まれ、世界で約20億人もの方が信仰しているとも言われます。ムスリム(イスラム教徒を指す)達は神の教えで定められた、イスラム教の教えに基づく五行(信仰告白,礼拝,断食,喜捨,巡礼)を生活の一部としており、風俗習慣にもイスラム教の教えが浸透しています。

 ドバイは他教徒や外国人に対し寛容な政策をとっていますが、イスラムの習慣に配慮して過ごすことは、旅の安全にも関わってきます。日本の常識とは違う事が多いので、下記の習慣をご覧いただき楽しい旅にしてください。

①女性をじろじろ見てはいけない

アラブ首長国連邦の人達は、男女とも肌を隠すような伝統的な服を身に着けています。女性はミニスカート・ホットパンツ・ノースリーブ・へそ出し等、露出の高い服装は控えましょう。

欧米からの駐在や旅行者も多く、他のアラブ地域よりも緩やかではありますが、イスラム諸国を旅する基本情報として知っておいた方が良いでしょう。
基本的に女性は肌や髪が人目に触れないようにというのが、イスラム教の考え方。
全身を覆うアバヤという黒いドレスに、頭はヒジャブと呼ばれるスカーフで髪の毛を隠しています。神秘的な雰囲気なのでついつい見つめたり、写真撮影したくなったりするかもしれませんがすべてNG。
特に女性の写真を撮る場合はどんな場合も絶対に許可をとりましょう。

②モスクや政府機関では他教徒でも肌の露出は禁止

他教徒の観光客に一般公開されているモスクがありますが、そんな時に気を付けたいのが服装。
特別な洋服を用意する必要はなく、長袖+ロングボトム+スカーフやストールでOK。写真のようなレイヤードスタイルなら普段着でお洒落に取り入れられそう。

そして、以外と気を付けたいのが、法人設立などビジネスで渡航される時。
政府機関や銀行などに赴くことが多く、男性の半ズボン・タンクトップ、女性のキャミソールやミニスカートは、建物に入れてくれないことがあります。
基本的に女性は肌や髪が人目に触れないように、男性も肩や腕、脚をむき出しにしないようにというのが、イスラム教の考え方。長袖・長ズボン・またはロングスカートなど、出来るだけ肌を隠すようにしてください。モスクでなければ、頭髪を覆い隠す必要はありません。


夏は40度以上にもなるドバイですが、そこはオイルマネーで潤うUAE。一歩建物の中に入れば冷房でガンガンに冷えています。日本からの唯一の直行便であるエミレーツ航空も、機内はものすごく冷房が効いており、寒がりさんには毛布一枚では足りないくらい。機内では冷房対策を。現地では上着や薄手の大判スカーフなどを一枚バックに入れておくと安心です。

③礼拝時間に配慮する

旧市街観光の際に気をつけることは「訪問時間」です。煌びやかなドバイモール周辺などを観光すると忘れがちですが、UAEは敬虔なイスラム教国家。 時間がくるとお祈り開始を知らせるアザンが鳴り響き、みな商店を閉め、足早にモスクへ向かいます。お祈り時間中はほとんどの商店が閉まりますので、その点も考慮して出かけるとよいでしょう。

  • モスクなどを見学する方も多いと思いますが、礼拝している人の前を横切ってはいけません
  • 旧市街など現地の方の生活に密着した地域では、モスクに入りきれず道でお祈りをしている方々も多数います。日本では珍しい光景ですが、注視したり大きな声で邪魔しないようにしましょう。
  • イスラム教の礼拝は、1日5回あります。
    (例:2023-08-25の場合。毎日礼拝時間が変わる。詳細👉

④ラマダン(断食月)に配慮する

 ラマダンとはヒジュラ歴の9月を意味する聖なる月を意味し、イスラム教徒にとって信仰心や家族との絆をより深める大事な月となります。期間は9番目の新月~次の新月までの1カ月で、新月が肉眼で観測されてはじめて期間が決まるため、正式な開始日・終了日は当日決定。2023年は3月22日~4月20日前後を予定しています。
イスラム圏ではラマダン中、国によってその雰囲気は変わり、観光都市・ドバイは華やかなムードに一変!の本のお正月のイメージで、街は月やランプなどの美しいデコレーションで彩られ、「ラマダン・カリーム(ラマダンおめでとう)」と挨拶が交わされます。

 ラマダンは外国人他教徒の観光客が断食をする必要はありません。またイスラム教徒は「1か月間、ずっと断食している」と勘違いされがち。しかし陽が出ている間だけ断食し、日没後~日の出までは食事をしています。ラマダンの注意としては、観光客も公共の場所で日中の飲食は禁止となります。ショッピングモールなどの飲食店では、日中は信者に配慮してカーテンやパーテーションで隠していますが、その奥で多くのお店が営業しています。オールド・ドバイなど地元の人が多く住むエリアでは、飲食店が日没後~ということも多いです。
 苦行だと思われがちなラマダンですがゆっくりと家族と過ごすことが出来る特別な時期でもあります。日本のお正月のように、親しい人や家族で過ごします。

 さらにラマダンの時期だからこそ楽しめるのが「イフタール」。イフタールとは日没後、初めて食べる食事のことで、さまざまなレストランで特別メニューが登場します。
 ドバイに住む人たちは深夜2時~3時頃まで、街やホテルにある「ラマダンテント」と呼ばれる特別なラマダンの装飾が施されたレストランで家族や友人とおしゃべりを楽しみます。ラマダンテントは夜が深まるほど、大盛り上がり!ぜひおしゃれをして、色々な場所で開催されているラマダンテント巡りを楽しんでみてください。
 ラマダン時期は航空券やホテルががお得!セールを開催するショップも多いので、上手く利用してラマダンを楽しむのも違った楽しみ方の一つです。

⑤酒類/豚肉の制限とハラール食

 旅先では地元の美味しい料理を楽しみたい!という方も多いと思います。
 ムスリムたちは食に関しても細かなきまりがあります。
 摂取してもよい食品をハラルフードと呼ます。

<ムスリムが摂取してはいけない物(一例)>
 ・豚肉や豚由来の成分が含まれているもの
 ・宗教上の適切な処理が施されていない食肉
 ・アルコール類
 ・その動物由来の成分、血液、犬や鉤爪(かぎづめ)のある動物、死んだ動物


 これらに該当しない食品をハラルフードと呼び、飲食店や小売されている食品などにはハラール認定マークが付けられています。ムスリムたちは、それを基準に食を選ぶのです。と言っても、イスラム教が国教の国々は、基本的にはハラール認証商品が流通の中心です。

 酒類の禁止はご存じの方もい多いと思います。ドバイでは、ホテルやショッピングモール内のレストランなど、許可された飲食店ではお酒も楽しむことが出来ます。

 多国籍なドバイでは、豚肉を扱う店が全く無い訳ではありません。外国人観光客や外国人居住者が多く利用するレストラン、生鮮食品を扱うスーパーマーケットの中には、豚肉の取り扱いがある店舗もあります。短期旅行なら我慢は出来ても、長期滞在だと豚の生姜焼きが恋しい、という場合は豚肉を扱っているスーパーマーケットを覚えておくといいでしょう👉スーパーマーケット情報
 会食やパーティーなどの食事の場では、信仰や主義など様々な食の価値観の方が同席される場合があります。相手に対する配慮を忘れないようにしましょう。

⑥男女の過度なスキンシップはご注意

 ハネムーンやカップルで出かけた旅行先では、ついつい開放的な気分になることもあると思いますが、公共の場所での過度なスキンシップはイスラム的にはNG。
 婚外の男女が同じ空間にいることを禁じているので、ムスリムたちは基本的には男女別々の行動が基本です。ムスリムたちが通う公立学校や結婚式は男女別々が当たり前。以前は、店舗の入り口も別々、メトロには女性と子供しか入れない車両があります。美容室も異性が施術することはタブー、婚姻していない男女が同室に宿泊することもグレーゾーンなので、外国人他教徒でも注意が必要です。

 

 ここまでイスラムの習慣をご紹介しましたが、UAE国内でも、少し厳格なアブダビと開放的なドバイとでは随分と雰囲気が違っています。また、周辺の中東諸国でもイスラムの事情は違っています。
 現地の戒律を配慮しつつも渡航前にしっかり確認して、楽しい旅にしてください。

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