– 2024年ラマダンはいつから?
2024年のラマダンは3月10日から開始
聖なる月と言われるラマダン月は、イスラム教徒であるムスリムにとってはとても大事な時期です。
ラマダンについて理解をしておくことで、イスラムの習慣への理解が深まり、UAEでの滞在が安全でより豊かになります。この期間に渡航される方は、基本的なことだけでも知っておいてください。
2024年は3月10日から4月8日までがラマダン期間となります。このラマダンは日中には飲食を断つという、年に1度行われる世界中のイスラム教徒の義務の1つです。日本人には意外かもしれませんが、ラマダンはお祭りのようなもので、多くのムスリムは毎年ラマダンを楽しみにしています。
そこで、今回はラマダンについて正しい理解、どのように過ごすものか大事なポイントを説明します。
そもそも「ラマダン」とは?
ラマダンはヒジュラ暦の第9月のことです。この月は日の出から日没までの間、イスラム教徒の義務の一つ「断食(サウム)」として飲食を断ちます。
イスラムの歴史において、コーラン(クルアーン)が預言者ムハンマドに啓示された月です。
ラマダンは新月の出現によって始まり、新月の出現によって終わります。よって、ラマダンの時期は太陽暦と比べ毎年10日から12日ずれることになります。
サウム(断食)とは?
アラビア語で「サウム」とは断食を意味します。飲食だけでなく、悪口、嘘や偽り、揉め事、欲望、性行為もそれに含まれます。また、断食期間中はより良い振る舞いをすることが推奨されています。つまりサウムとは、単に飲食を断つという意味だけではないのです。
ラマダンのルール
ラマダン月の間、日の出から日没までサウム(断食)が行われます。食事だけでなく、水分の摂取も控えます。
子どもは基本的にラマダンをすることを免除されます。しかし多くの子どもたちは1日に数時間だけ、できるかぎりの断食をするという経験を積み重ねます。そして、病人、高齢者、乳幼児、妊婦や授乳中の女性は免除されることが決まっています。また、生理中の女性、旅行者も断食の免除の対象となりますが、基本的に免除された日数分をラマダン後に繰り越して断食をします。
断食はイスラムにとっての義務ですが、同時に基本的に寛容なルールなのです。
他教徒でも断食しなければならないのか?
海外からの移住者、観光やビジネスでの滞在者など、他教徒はこのラマダンのサウム(断食)にお付き合いする必要はありません。
ショッピングモールやホテルなどでは、カーテンやパーテーションなどで、外から飲食風景が見えないようにして食事を提供しています。むしろ、ショッピングモールやホテルなどでは、ラマダン用の美しい装飾が目を楽しませてくれます。
地元の住民が多く集まる地域では、飲食店は日中は閉店し、日没後から開店する店が多いのが特徴。来店予定があるときは、事前に営業しているかどうか確認しておくといいでしょう。
そして、ムスリムたちが断食を実行中の中、公共の場所でこれ見よがしに美味しそうに水を飲んだりすることは、あまり褒められたものではありません。こういったことがもとでトラブルになることもありますので、期間中は気を付けましょう。
近年では、デトックスの意味合いで緩やかな断食にチャレンジする他教徒もいるようですが、いきなり普段と違ったことを行うと、体調が悪くなったりすることがある為、注意が必要です。
そもそもなぜ断食をするのか?
ラマダンは自身の信仰心を清めることが重要な目的です。ラマダン時期は霊的な期間であり、神に近づく期間なのです。よりよい自分にする、自分自身を強くする、欲望を抑え意志を鍛える、普段の悪い癖を直すこともラマダンの目標です。
ラマダンはイスラム教徒にとって重要な慣習であり、普段満足に食べられない貧しい人々の気持ちを理解することや、そういった人々のことに思いを至らせるための意味もあるとも言われています。
ラマダン期間中のライフスタイル
現代では、ラマダンは文化的・社会的なイベントになりました。ラマダンでは、たくさんの文化、特別な食事、面白い慣習を発見できます。また、家族が集まって一緒に時間を過ごすための機会でもあります。日本のお正月のような感じで家族で集まり、食事を共に囲みます。
ラマダン期間中は仕事や学校の時間が短くなります。UAEでは、月曜日から金曜日の9時から15時までなど、仕事が昼休み無しで行われる行政機関や企業もあります。
日中の主な行事は以下の通りです。
Suhoor スホール
一日は夜明け前の朝食から始まります。もしくは,通常は朝4時から一日のはじめのお祈りの前に始まります。
Iftar イフタール
アラビア語の「Iftar」またはモロッコ方言アラビア語「Ftour」は“朝食”を意味し、ラマダン期間中では日没後一回目の食事のことを指します。
Iftarは通常19時半ごろ、マグレブの祈りとともに日没から始めます。それはイスラム教徒が家族で集まり、食事をするという機会です。断食中の食事(日没後一回目の食事)をすることは、イスラームにおける預言者ムハンマドが生前に実践していた慣行の真似をするために、コップ一杯の水や牛乳を飲み、奇数のナツメヤシを食べます。このIftarは、マグレブの祈りを終えた後に食べ始めるようにと言われます。ラマダンのときは特においしい料理がふるまわれます。
Tarawih タラウィーフTarawih(アラビア語: )は夕方に行われる日々の祈りのことで、ラマダン期間中は Isha の夜の祈りの後にされるお祈りです。この祈りは平均1時間続きます。
イスラムの文化では、特にラマダンの間、男性を寄せつけないために女性たちは化粧をしないようにするか薄くしています。また、香水を付けることも女性にとってしていけないことです。
さらに、女性の服装にも変化が見られます。この時期にはジェラバという伝統的な服を着る女性が増えます。もともと、イスラム世界の多くの国では、体を露出させる服を着ること、肌が透けて見えるような服装、袖や裾の短い服装、または肌に密着するような服を着ることは禁止されていますが、ラマダン期間中は節度を保つ期間なので、より注意が必要になります。
また、ラマダン期間中の夜は人通りが多いため、女性の夜間の外出も安全になります。
ラマダンはムスリムにとって、年間実施する中で一番大きな文化イベントです。
ラマダンの最初の数日は断食するのが難しいですが、慣れてくると次第に違う感覚が身に付くそう。
その理由の一つには、ラマダン期間中は時間があるということです。
仕事の後は十分な時間があり、家族と一緒に過ごしたり、身体的活動よりも様々な事柄に想いを馳せるなど、時間がたくさんあります。ラマダン月の間、ムスリムたちは自分の宗教や他の宗教についての理解をより深めようと努めます。忙しい日々から心をオープンにし、体を休め、落ち付いた気分になれる一ヵ月なのです。