– アラブ首長国連邦（UAE）が移民対策で国際基金設立に1億ユーロ（約160億円）の拠出を約束　［2023/07/24更新］

ローマで23日、欧州に押し寄せる移民を抑制する方策を話し合う国際会議が開かれ、中期的な対策を支えるための基金を創設する方針を決めた。欧州連合（EU）とチュニジアは、支援と引き換えに移民の密航を止める合意を結んでおり、これを拡大していくことが当面の目的となる。

会議はイタリアのメローニ首相が呼び掛けた。開幕演説でメローニ氏は、不法移民か合法的な移民かを注視し、難民を支援する一方で「アフリカの発展を助けるために幅広く協力することが何よりも重要だ」と強調した。
近年、北アフリカから地中海を渡って欧州を目指す移民船の事故が増えている。6月中旬にギリシャ沖で起きた沈没事故では数百人が死亡したとみられ、途上国の経済悪化で脱出する人が増えたほか、取り締まりの強化で密航船が危険なルートを選ぶようになったことが背景にある。

この日の会議は「始まりにすぎない」とメローニ氏は指摘し、基金のためのドナー会議を開くと宣言した。ただ、期日は決まっていない。それでも会議後の記者会見で、アラブ首長国連邦（UAE）が1億ユーロ（約160億円）の拠出を約束したとメローニ氏は訴えた。

会議には、チュニジア、UAE、モーリタニアから大統領が参加し、EUからもフォンデアライエン欧州委員長とミシェル大統領が駆け付けた。グランディ国連難民高等弁務官も姿を見せた。

アルジェリア、エジプト、エチオピア、ヨルダン、レバノン、マルタ、ニジェールからは首相、ギリシャ、トルコ、サウジアラビア、クウェートからは閣僚が出席した。ただ、フランスとスペインは参加を見合わせた。

EUは最近、チュニジアに密航船の出港を阻止してもらうため約1億ユーロの支援を行う覚書を交わしている。ローマ駐在のEU外交筋は「北アフリカの国々と手を組まなければならない。こうした国々が完全な民主主義国でなくてもだ」と語り、エジプトやモロッコとも同様の取り決めを結びたい考えを明らかにした。（引用：AFP時事）