– 日サウジ両政府、レアアース開発に共同投資 [2023/07/15更新]
日本とサウジアラビア両政府は脱炭素に欠かせないレアアース(希土類)鉱山開発の共同投資で合意する見通しとなった。岸田文雄首相とサウジの首相を務めるムハンマド皇太子が16日の会談で確認する。
日本は重要鉱物を巡って中国など一部の国への依存度を下げ、経済安全保障の強化につなげる。経済産業省とエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、サウジの産業鉱物資源省の3者が近く重要鉱物に関する協力覚書(MOC)を結ぶ。
協力の柱として第三国での鉱物資源の開発で両国による共同投資を検討する。脱炭素で需要が高まる電気自動車(EV)向けのレアアースなどを念頭に、重要鉱物の権益確保を急ぐ。
サウジは国家戦略の一つで国内でのレアアース鉱山の探索を掲げており、日本がこれに協力する。鉱山探査の知見があるJOGMECがサウジの初期調査を技術的に支援する。銅や鉄、亜鉛といった国内で採れる資源の開発強化も後押しする。
現在、レアアースやEV用電池に使うリチウムやコバルトなどの供給元は中国などに集中する。脱炭素の流れは世界的に強まっている。日本とサウジの双方ともに関連鉱物の調達網を多様にし、特定の国への依存度を下げていきたいとの思惑がある。
日本は水酸化リチウムの調達の8割弱を中国に頼り、コバルトを精製するプロセスも6割超を中国に依存する。中国は2010年の沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を受けてレアアースの対日輸出を規制し、日本が供給確保に追われた経緯がある。
首相は16日から18日までサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールの3カ国を訪れる。各国の首脳との会談ではエネルギー分野などでの協力を確認する。(引用:日経デジタル)