– 岸田首相のサウジ訪問、40社が同行 目立つ非エネルギー [2023/07/16更新]

岸田文雄首相の16日のサウジアラビア訪問におよそ40社・機関が同行することが分かった。エネルギー分野のほか、インフラや医療、宇宙、スタートアップといった非エネルギー業種も目立つ。幅広い日本企業との協業を後押しし、産業の多角化を目指すサウジとの経済関係の強化につなげる。

サウジは2016年に策定した経済構造改革「ビジョン2030」で脱石油依存を打ち出し、ヘルスケアや観光、インフラといった分野にも注力する。政府はサウジ側の関心が高い分野の企業を中心に同行を呼びかけた。

ヘルスケア分野では画像診断の医療機器などを手がける富士フイルムホールディングスなどが参加する。宇宙分野からはNECや宇宙ごみ(デブリ)除去サービスのアストロスケールホールディングス(東京・墨田)も同行する。

製造業では三菱重工業日揮ホールディングスといった大企業だけでなく、サウジ企業と合弁企業を立ち上げた会沢高圧コンクリート(北海道苫小牧市)も加わる。同社はサウジで住宅向けのコンクリート部材の量産を狙う。

観光分野では翻訳システム開発のKotozna(コトツナ、東京・港)の名もある。同社は生成AI(人工知能)を搭載して多言語に対応したコンシェルジュサービスを提供する。

首相は16日から18日までサウジ、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールの3カ国を訪れる。サウジなど中東6カ国で構成する湾岸協力会議(GCC)との自由貿易協定(FTA)交渉についても2024年にも再開する調整に入った。産業の多角化を狙うGCC諸国側にはFTAをテコに経済成長に弾みをつけたい思惑もある。

中東と言えばエネルギーというのが通り相場だったが、もう今やそういう時代ではない。中東は脱炭素時代が来ることを見越して様々な経済政策を展開している。これらの政策が成功するかどうかはわからないが、少なくとも豊かな資金に支えられ、積極的に投資が行われることは間違いない。そうした契約を取りに行くというのはほぼ常識なのだが、日本では中東に関する報道も少なく、こうした状況の変化がなかなか伝わりにくい。今後、大きなビジネスチャンスが転がっているところだけに、今回の総理訪問で非エネルギー産業が多く参加するのは妥当な選択だろう。(引用:日経デジタル)

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