– パキスタン、最大港のターミナルをUAEに譲渡へ [2023/06/20更新]

経済危機に陥っているパキスタン政府は、南部にある同国最大の港「カラチ港」のターミナルをアラブ首長国連邦(UAE)に譲渡する方向で本格的な検討に入った。緊急資金を調達するためにパキスタンで2022年に制定された法律に基づく最初の「政府間取引」となる可能性がある。

パキスタン財務省が20日までに明らかにした。政府間商取引に関する内閣委員会は最近、相次いで会合を開催。海洋分野におけるパキスタンとUAEの関係を強化するため、港湾譲渡に関する交渉を担う省庁間委員会の設置を決めたという。ただ、UAEに対し港湾の運営権を譲渡するのか、港湾施設そのものを売却するのかなど詳細は不明だ。

UAEはオマーン湾を挟んで対岸に位置するパキスタンの主要港湾を押さえることで、両国間物流を強化する狙いがあるとみられる。アラブメディアは5月下旬、UAEの港湾運営会社幹部が「UAEのオマーン湾側の港からカラチはホルムズ海峡を経るよりも短時間で結ぶことができ、合理的だ」と発言したと伝えていた。

パキスタン経済は世界的な物価上昇や大洪水の影響で破綻寸前となり、債務不履行(デフォルト)の危機が続いている。パキスタン政府は先ごろ、債務の3割を占める中国政府からさらに10億ドルを調達したほか、割安なロシア産原油を初めて輸入するなど、経済状況はかなり追い詰められている。

22年、デフォルトに陥ったスリランカは、債務負担に耐えかね南部ハンバントタ港の運営権を99年間、中国に譲渡することになった。今回のカラチ港の譲渡案件は、スリランカの前例を彷彿とさせる。
(引用:日経デジタル)

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